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チヨミ「講義に遅れちゃーう」。


「・・・・」


チヨミ「せーふ」


セラ「・・・、どこがセーフなの、どこが。


チヨミ「ハイ!、びしびし行きますよー」。
セラ「切り替え早っ・・・」。

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先(PARTII)にエンジンの方を紹介してしまいましたが、チョッと立ち戻って、飛行機全般の構造・原理・テクノロジー等を説明します。

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−  各翼と作用  −

毎度下手な絵で申し訳ありません。
左図、@が主翼、Aが水平尾翼、Bが垂直尾翼です。

通常、主翼のみが揚力を持っていて。つまり飛行機は主翼のみで空中に浮かんでいます。
即ち。前の方に主翼が付いているように見えますが、機体前後のバランス位置にあります。
(ジャンボ機のような、大型旅客機の場合。水平尾翼にも、若干揚力が持たされている場合があります。)

次にコントロールですが、@が「ヨー」、Aが「トリム」、Bが「ロール」です。

自動車の場合は、ABは地面が支配しているので、@(ステアリング)だけですね。

各コントロールに対する、各補助翼(ラダー・エレベータ・エルロン)の説明は割愛します。
操縦桿の前後がエレベータによるトリムで、左右がエルロンによるロールである事も、ほとんどの皆さんがご存知ですね。・・・で。

問題はラダーです。

実は、ラダーのコントロールはフットペダルで行います。
ただしこれは、ただのペダルではなく、左右のペダルが棒でつながっていて。真ん中を支点に、ハンドルのように左右に回すようになっています。
イメージとしては、トラックのような平らなハンドルを、足で操作するような感じで。「フットバー」と言います。

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車のハンドルの場合、例えば右手方向を前に出すと左に曲がりますが。飛行機の場合、コレが「逆」になります。つまり、右ペダルを踏むと「右」に向きます。

また。フットバーは実は飛行機の「車輪(ステアリング)」にも連動していて。飛行機が地上を走行している時の、左右のコントロールもラダーと「同じ方向」に向きます。
つまり、車の感覚でフットバーを回すと、反対方向に機首が向いてしまうのです。
(旅客機の場合は、車輪専用のハンドルがある場合があります。)

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船の場合、文字通り「ラダー」で左右に操船しますが。飛行機の場合は、通常はラダーでは旋回させません。
ラダーで機首を曲げると、乗っている人が横へ引っ張られるようになってしまうからです。

ご存知、機体をバンクさせるのですが・・・。
エルロンで機体を傾けると、揚力も一緒に傾くので。この時発生する、水平引力を利用します。

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左図@が普通の揚力とすると、傾けるとBの方向に引力(求心力)が発生し、旋回します。
もちろんその分、揚力が不足(Aの分)しますので。機首を上げて、揚力を増大させます。

「じゃあラダーは要らないの?」と言うと、そうではありません。
横風を受けた時の、機首方向調整や。着陸する時には、滑走路と軸線を合わせるために。大変重要な舵となるのです。

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−  翼形状 色々  −

まずは、主翼の取り付け位置による分類です。
左図は機体前方から見た図です。(水平尾翼は省いてあります)

上から、「上翼機」、「中翼機」、「低翼機」と言います。

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「上翼機」は、主翼に機体がぶら下がるようなかたちになるため。機体が安定しますが、その分運動性能が低下してしまいます。
また車輪を主翼から伸ばすと、大変長くなってしまい。かと言って胴体に付けると、幅が狭くなってしまう欠点があります。

さらに、上方視界が損なわれるため、戦闘機には使えません(敵機に上方に付かれると、大変不利になってしまうからです)。

「中翼機」は、ロールの中心と、機体重心が。ほぼ同じ位置(中心)にあり。極めて運動性能が向上するため。格闘戦用の戦闘機に向く構造です。
しかし主翼を支えるビームが、機体中心を貫いてしまうため。内部構造を構築するのが難しいのが難点です。

「低翼機」は、中翼機にはかなわないまでも、ある程度の運動性能も確保でき。上方視界が良好で。戦闘機に向く構造です。

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−  音速の世界  −

音速を突破すると、機体先端部から「円錐状」に。「衝撃波」(マッハ・コーン)が発生します。

これは先端部分に限らず。進行方向に対して垂直面、全部分に発生します。(気流の流れる速度が音速より早まる部分)
垂直面を、「斜め」にすると、マッハコーンの発生を遅らせる(音速より早い速度でも出なくなる)事ができます。

例えばこれは、プロペラ機のような機体構造ですと。左図の赤い部分全体で発生してしまい。
大変大きな負荷になってしまうのです。

これを防ぐために、超音速機は。翼に後退角を付け、機体を鉛筆のように細くしているのですね。

では、ジェット旅客機のような亜音速(音速より少し遅い)機なら大丈夫かと言うと。そうとも限りません。
側面部分でも、気流の流れが部分的に音速を超えてしまう部分があるからです。

具体的には、「翼上面」です。

そもそも「翼」というのは、上面を流れる気流と、下面を流れる気流の速度差を使って「揚力」を生み出しています。
つまり上面を流れる気流は早くなるようになっているため。亜音速でも、翼上面全体で、マッハコーンが育ってしまう場合があるのです。

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ジェット・エンジンが開発されて間もなく。ドイツでこの「後退翼」が開発されました。
戦後、ジェット戦闘機には。この素晴らしい効果を生み出す後退翼が導入され。その角度も増して行きました。・・・が。

それは同時に、「翼端失速」や「ダッチロール」と呼ばれる。大変深刻な操縦不能状態を生み出すに至ってしまいました。

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−  後退角の「ツケ」  −

翼端失速、発生のメカニズム。

後退角の翼では。前から来た気流が、翼上下面に分かれた後、多少「外側」にズレるように流れます。
ところが、翼上面の方が「抵抗」が大きいため、より多くズレが生じます。

気流が外にズレると、左図赤丸の辺りの気圧が上昇するのですが。
下面より上面の方が少し気圧が高くなるため、赤丸の辺りが上から押されるようなかたちとなります。

赤丸の部分は、「機体重心(左図@線)」より後方にあるため。機体後方が押し下げられ、反対に機首が上がってしまい。
ひどい場合は、機体が上向きに宙返りしてしまい。操縦不能に陥ってしまうのです。

もっとマズイ事に、翼端失速は低速時に迎え角(機首上げ)を取った時に発生しやすく。
つまり離着陸時に発生しやすいのですが。低空であるため、これが発生すると。「立て直し」がきかないまま。更には、「脱出」もままならないまま墜落するという事態を招く。深刻な現象でした。

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この現象を防ぐため、「境界層板」「ソーカット」「ドッグトース」等が導入されましたが。それ自身が「空気抵抗」になってしまう事もあり。結果的に「デルタ翼」。
もしくはそれに順ずる翼形状を、ほとんどの超音速機が採用する事となりました。(セイバーのような、通常形状翼はほとんど無くなりました)

例えば「F15」戦闘機は、普通はデルタ翼とは呼ばれませんが。その特性を持つ翼形状と言えます。
つまり現行ジェット戦闘機は、そのほとんどがデルタ翼か、それに順ずる翼形状を採用しているのです。

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「なぜデルタ翼は翼端失速しにくいのか?」。
種明かしは簡単です。上図のような通常形状翼に比べ、翼が前後に長いため。トリム方向のコントロールが安定するためです。
(機首が「跳ね上がり」にくいのです)

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ダッチロール発生のメカニズム。

機体が「横滑り」を起すと、左図上矢印のように。機が機首斜め方向に進むようになります。

普通の翼形状なら問題ないのですが。後退角が付いていると。左図下の図の「投影図」のように。
進行方向に対して、「翼長」が、@とAのように左右で異なってしまいます。

すると、左図例で、右翼の「揚力」が大きくなり。機体が「左」に傾きます。
すると、今度は左に横滑りを始め。傾きが「直る」のですが。「勢い」が付きすぎて、今度は逆に、機体が右に傾いてしまい。

コレを繰り返し。「立て直し」が難しくなり。ひどい場合、墜落してしまいまうのです。

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ダッチロールの場合、次に説明する「上反角」も、複合的に作用します。

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翼の上下反り角。

もはやここまで下手な図だと「何が何だか」解らなくなってしまっていますが・・・。
左図のように、機体を前から見た時。翼が上に反っているのが「上反角翼」、下が「下反角翼」です。
(角度が付いていない場合は「水平翼」等と呼ばれます)

上反角は、船の船底形状と同じで。機体の左右バランスを安定させるものですが。問題は下反角です。

下反角など付けたら、機体が「ヒックリ返ってしまうのでは?」。と思えますが。
前記の後退翼の反復力を、「抑制」する効果があります。

反復力が強ければ、機体が安定するのですが。逆に、運動性能が損なわれてしまうため、これを相殺するため「あえて」不安定にしているわけです。

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−  (最後にオマケ) これで飛べる?  −

「大気速度計」「高度計」「水平義」。この三つの計器が、航空機で最も重要なものです。

デジタル化され、全ての情報がテレビモニタに表示されるようになってもなお。
必ずこの三計器は予備として、コックピットのどこかに独立したかたちで設置されている程です。

テレビモニタ等が使えなくなっても、別系統の動力で作動するので。最悪でもコレだけは使えるようになっているのです。

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大気速度計。
機体の(普通は)先端に付けたパイプ(ピトー管)にバネ付きピストンが入っていて、このピストンの押された量を「大気速度」として表示します。
もちろん「地面速度」ではないので、「風向き」によって誤差が出ます。
今では「レーダー」「慣性航法装置」により、誤差は無くなりました。

高度計。
高度が上がると気圧が下がる原理を利用した。要するに「大気圧力計」です。
もちろんこれも、気圧の変化で誤差を生じます。これもレーダー等により、今では正確になっています。.

水平義。
水中にオモリを付けたボールが浮いている構造で、機体の水平を見る計器です。
慣性航法装置(INS)の開発により、より正確になりましたが。その実、この計器だけは完全正確という訳にはいきません。INSも、わずかに誤差が出てしまいます。

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最後に、大気速度の大問題として。「高度が上がるとピトー管の反応が悪くなる」というのがあります。
レシプロ時代ではあまり関係ありませんでしたが、ジェットになって。一万メーター以上高度が上がると、空気が薄くなり。ピトー管を押す力が少なくなってしまうという現象が顕著になりました。
この後説明しますが、実際、これ程上がると。音速(600ノット以上)を出しても、300ノット程度しか表示されなくなってしまいます。

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計器の単位は?

航空機の単位は、導入の際の時代背景、戦争や各国の情勢が入り乱れて。「極めて複雑」です。
ちなみに。現在の「単位」が定着した時代。同時にINSも導入され、これにより「自動操縦」が可能になったのですが・・・。

これを見たベテラン・パイロットが。「パイロットが居眠りしないように、単位の計算を難しくしたのさ」と揶揄された程です。

平面距離はノーチカル・マイル(海里:1.82Km)。速力は時速1マイルが、1ノット(knot:kt)。なので、船と同じなのに。
高度はフィート(feet:ft)になります。1フィートは0.3メーターです。

その上、着陸等で重要になる。「垂直沈下速度」(落下速度)は、なんと普通の「メーター(メーター毎秒)」なのです。(滑走路の海抜はフィート)
更にはペイロード(搭載重量)が「ポンド」だったり「キロ」だったり、燃料容量が「ガロン」だったり「リットル」だったりします。

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二時間目の講義は、チョッと長くなってしまって。夕方になっちゃいました。
それじゃあまた、三時間目で会いましょう。

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セラ「なんかコレー・・・。食われてません?」

「ホットスタッフ空軍 PARTW」へ。

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